迷える子羊ためのProxmox VE入門 ep1~インストール編~

はじめに

本記事ではBroadcomによるVMwareの買収と、その結果ESXi の無償ライセンスの提供が終了したことを受けて、仮想環境の移行先としてProxmox VEの紹介をします。ペネトレーションテストマルウェア解析のための環境構築方法についても解説します。

参考記事

www.itmedia.co.jp

目次

Proxmox VEとは

Proxmox VEは、「Proxmox Virtual Environment」の略称で、オープンソースの仮想化プラットフォームです。これはLinuxカーネルに基づき、仮想マシンVM)とコンテナを用いたサーバー仮想化をサポートしています。ProxmoxはKVM (Kernel-based Virtual Machine) およびLXC (Linux Containers) の技術を統合し、完全仮想化とコンテナベースの仮想化をそれぞれ実現しています。KVMを利用することで、各仮想マシンに専用の仮想ハードウェアが割り当てられ、異なるオペレーティングシステムのインストールと実行が可能になります。一方で、LXCの使用により、軽量なコンテナを作成し、同一のカーネルを共有しながら隔離されたLinuxシステムを実行できます。

Proxmox VEにはウェブベースの管理インターフェースが備わっており、ブラウザを通じて仮想マシンやコンテナの設定および管理が簡単に行えます。さらに、クラスタリング、高可用性、バックアップと復元、ネットワーク設定といった高度な機能もサポートされています。

1. 要件

Proxmox VEをインストールするためには、以下の要件を満たしたハードウェアを用意してください。

公式サイトからの翻訳

  • Intel VT/AMD-V CPU フラグを搭載した Intel EMT64 または AMD64 CPU が必要です。
  • OS、Proxmox VE サービス、およびメモリには最低 2 GB が必要であり、ゲスト用の追加メモリも必要です。Ceph または ZFS を使用する場合、追加のメモリが必須となります。使用するストレージの TB ごとに約 1 GB のメモリがさらに必要です。
  • OS ストレージには、バッテリーで保護された書き込みキャッシュ(BBUを備えたハードウェア RAID)を使用するか、ZFS および SSD キャッシュを使用した非 RAID を推奨します。
  • VM ストレージでは、バッテリーバックアップ付き書き込みキャッシュ(BBUを備えたハードウェア RAID)を搭載したローカルストレージ、またはZFS用の非 RAID ストレージを使用できます。ZFS および Ceph はハードウェア RAID コントローラーと互換性がないため、注意が必要です。共有および分散ストレージの設定も可能です。
  • 冗長ギガビット NIC を搭載し、使用するストレージテクノロジークラスタ設定に応じて追加の NIC(10 ギガビット以上もサポート)を搭載することが推奨されます。
  • PCI(e) パススルーを使用する場合は、VT-d/AMD-d CPU フラグをサポートする CPU が必要です。

参考

私は、Minisforum社のミニPC3台にインストールしています。

store.minisforum.jp

2. インストール

1. ISOのダウンロード

公式サイトからISOをダウンロードします。

www.proxmox.com

2. USBなどに書き込み

RufusなどのツールでUSBに書き込みます。

3. USBから起動して、インストールします。

Install Proxmox VE (Graphical)を選択

4. エンドユーザーライセンス契約

「I agree」をクリック

5. インストール先の設定

Proxmoxのインストール先を選択して、「Next」をクリック

6. ロケーションとタイムゾーン

Proxmoxのロケーションとタイムゾーン、キーボードレイアウトを選択して、「Next」をクリック

7. パスワードとメールアドレス

rootユーザのパスワードとメールアドレスを入力して、「Next」をクリック

8. ネットワーク設定

マネジメント用のネットワークインターフェースを選択して、ホスト名、IPアドレスゲートウェイDNSサーバを入力して、「Next」をクリック

9. インストールの実行

「Install」をクリック

10. 完了

図のようにWebコンソールのURLが表示されたら、インストール完了です。

3. ログイン

ブラウザから下記URLにアクセスしてください。

https://<ProxmoxのIP>:8006

アクセスすると図のようなUIが表示されます。
ユーザ名はrootで、パスワードはインストールのNo.7で設定したパスワードを入力して、「ログイン」をクリックするとアクセスできます。

4. セットアップ

1. Proxmox VE のリポジトリ

Proxmox VEには、Proxmox VE Enterprise RepositoryとProxmox VE No-Subscription Repositoryの2つがあります。Proxmox VE Enterprise Repositoryは有償のサブスクリプション キーが必要になるため、Proxmox VE Enterprise Repositoryの無効とProxmox VE No-Subscription Repositoryの有効にする操作が必要になります。

2. Proxmox VE Enterprise Repositoryの無効

WebUIの「シェル」をクリックします。

viでsources.listを開きます。

vi /etc/apt/sources.list

下記リポジトリコメントアウトします。

deb https://enterprise.proxmox.com/debian/pve bookworm pve-enterprise

3. Proxmox VE No-Subscription Repositoryの有効

コメントアウトしたら、下記のリポジトリを追加します。

deb http://download.proxmox.com/debian/pve bookworm pve-no-subscription 

CLIまたはGUIでアップデートをして完了です。

 apt-get update